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オーダーメイド

 先日工房へ、オーストラリアよりお客様がいらした。
前に依頼された蒔絵の品物を取りに、旅行の途中でわざわざ立ち寄ってくれた。


 数カ月前になるが、突然工房に連絡が入り、工房を見たいということと万年筆が好きだということで、どうしてもこちらへ来たいという。

オーストラリア人だということだったが、友人の日本人女性も一緒ということだったので、丁度あいているスケジュールの時に来ていただいた。

 出会って話しを聞くと、何でも、世界的に著名なアーティストの兄を持ち、彼の仕事を手伝っているという男性で、そのお兄さんは安藤忠雄さんが設計したことで知られている「ベネッセアートサイト直島」のホテル、「ベネッセハウス」のスイートルームの壁面の仕事もされていたそうだ。



 そんな彼から、おもむろに依頼を受けた。
気に入って使っていたペンが、表面の塗膜にひびが入ってキズになってしまったので、ここを埋めて隠し、保護するように、蒔絵で装飾して欲しいとの事だった。

通常はなかなか条件が揃わないと引き受けにくい仕事であったが、デザインと仕立てを全て任せるということと、合間仕事にやるので、納期は長くザッックリと設定するのであれば・・・ということで、引き受けたのだった。



 人はある程度の年齢にもなれば、気に入って使っている愛着あるものというのは何かしら持っているものだ。
もしそれが故障したり破損してしまったらば、さみしい気持ちになるだろう。

 今回の依頼のように、修復しながらも、完全には消えないキズの上に保護の意味もありながら蒔絵装飾を加えることで、また新たな新鮮味を持って生き返る楽しみは、とても粋な事だと思う。
またそのような行為に、日本の美的な感覚を感じる。


 もちろんそこには、依頼主と作り手の信頼関係がないと成り立たないが、そのような注文の仕方を知っているこの客人は、人生においてもいろいろと楽しみ方を知っている方なのだろうなと直感して引き受けたのだった。



 客人は今回引き取りにくるその日に、初めて仕立てた品とご対面した。

結果はとても満足されていた様子で、工房の皆もホッと緊張の糸が解けていくのを感じていた。

すると、「Next job」と言って、また蒔絵装飾の依頼を持ってきた。

今度の仕事も全てこちらのおまかせで、期限も特にないという。
あらかじめある程度予算を決めておいて、大体のデザインの方向性だけ相談し、また帰っていった。


 このような仕事の仕方は、一般的な企業や会社のお仕事にはない醍醐味がある。
コストこそ決められて入るものの、作品を通して依頼主と作者との対話には緊張感が伴う。
値段は大凡の目安であって、その人の顔を思い浮かべながら、趣向を凝らしていくのだ。



 また心地よい緊張感が生まれればよいなぁ~と、作る前から自分でも楽しみになっている。

fountain&brush
こちらは大下香仙工房オリジナル万年筆の
「月に秋草蒔絵万年筆」(写真左)と、「竹型蒔絵高級毛筆」






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