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磨くこと



「蒔絵というものは暗いところで見るように作られている」
谷崎潤一郎著の「陰影礼賛」にはこの様に記述されています。

みなさんは蒔絵の金色というと、どんな色味をイメージされますか。
太陽の下にいる時の明るく艶やかな色、薄暗い場所での落ち着いた色。
日夜の見え方に違いに、それぞれの時間で魅了される色。

蒔絵の金色には、素材や技術によっても色の違いが生まれることをご存じでしょうか。



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金粉というのは、そもそも漆で塗り固め、磨くことにより光りを放ち、
わたしたち蒔絵の仕事は、「磨くが6,7割、描くが3,4割」とも言われています。

華やかな描いている世界というより、比較的地味なこの磨く作業が主であり、
地味な仕事の集大成なのです。

何が大変かというと、例えば球体のものは、磨きがかけにくく、
まだらにならないように注意しなければいけません。
職人修行のはじめには、適度な加減というものを知ることから始まります。
というのも、磨くということには、説明できない加減があり、
磨きすぎると金が破れてしまうのです。



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もちろん、磨く技術だけが金色の違いを生み出すのではありません。
前回(金粉のこと)にお話しした、金粉の種類や大きさのことに加えて、
漆の塗りこみの分量、漆の種類(梨地や生漆)の
組み合わせ方によっても金色の階調は異なります。

そして、磨きをどの段階で終えるかも表現の一つになるため、
金粉や漆の素材を選ぶこと、描くデザインに加えて、
磨きの技術も大事な仕事の一つとなるのです。

みなさまにも、作品の中に隠れる金色の違いや
目に見えない向こう側に思いを馳せ、楽しんでいただけたらと思います。



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(スタッフK)

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